アキラのタイコ放浪記 Ver.2::2007年12月10日

たった１杯のかけそば

December 10 2007

昨日と今日と・・・

珍しく某サックス奏者と２日間同じ仕事だった・・・
（スケジュール見たら誰の事か分かってしまうが・・・）

昨日は滋賀県でのライブ！

昔から名前は知っていたし間接的には関係があった人達と
ようやく一緒にプレーする事が出来た記念すべきライブだった

そして今日は FAUN で京都グリース！

今回はメグミの代役としてサックスを入れての編成で
いつもとは違う FAUN サウンドで素晴らしいライブが出来た

そんな２日間を共に過ごしてきたサックス奏者

ミュージシャンとしては素晴らしい才能の持ち主で
彼のプレーは本当に最高なのだが・・・

人間としては疑問だらけの奴なのだ！笑

そんな彼との、ほんの数時間の出来事を今回は紹介します！

昨日の昼、俺は彼を車に乗せて高速道路を走っていた・・・

阪神高速松原線から西名阪自動車道に入るぐらいだったかな・・・？

ちょっと腹が減った気もするし、現場に着いてからは暫く何も食べれないかもしれないので
少しだけ何か食べようか！と言う話になった

しかし彼は前日から徹夜に近い状態のスケジュールで行動していたので
食べたいのだが、脂っこい物は食べれないとの注文が入った

何が食べたいのか聞いてみると・・・

一言で言うと「かけそば」らしい・・・

「あげ」も「天ぷら」も「肉」も・・・
「玉子」ですら入っていない状態の
「かけそば」が食べたいらしい・・・

俺も前の晩に飲み過ぎたりすると
次の日は「あっさり」メニューが好ましい時がある
だから気持ちは分かる気がする

まぁ～普通のサービスエリアに入れば
絶対に「うどん」や「そば」は存在するはずなので
一番近かった少し大きめのサービスエリアに入ってみた

そして食券を買う自動販売機の前に立ってみると
「そば」も「うどん」も存在するのだが、全部に具が入っている・・・

いわゆる「かけそば」が無いのだ！

仕方がないので俺は彼に優しく問いかけてみた・・・

「かけそば・・・無いけど・・・ええか？」

すると彼は言った・・・

「かけそば　が　いいっす！」

この時点で俺は「そんなに執着するかね・・・？」と
思いながらも彼の望みを叶えてやるべく車を出し
次のサービスエリアを目指すのであった

彼曰く、小さいサービスエリアの方が「かけそば」がある！
と言う何の根拠も無い情報を頼りに暫く走った先の
メッチャ小さなサービスエリアに入ってみた

すると・・・

そこには「ラーメン」屋さんしか無かった・・・

仕方がないので・・・

もう一度だけ彼の情報を信じて
小さなサービスエリアを探し入ってみた

そこには・・・

小さなレストランらしき店があったのだが
定食関係ばかりで「かけそば」は無かった・・・

もう何でもいいから食べさせてくれ！
と思いながらも、俺は彼に聞いてみた・・・

「どうせ・・・かけそばが・・・忘れられへんねやろ？」

すると彼は言った・・・

「すんません・・・ここまで来たら諦めたく無いっす！」

その言葉を聞いた俺は、彼の「かけそば」に対する執念が
半端では無い事に気づき、最後まで一緒に付き合ってやる覚悟を決めた！

そして３件目のサービスエリアを出発したのだが・・・

その後次のサービスエリアが見付からないまま・・・

高速の出口を出ていた・・・

そこは三重県の山の中・・・

ここから滋賀県の県境に向かって・・・

ひたすら山道を走る訳で・・・

普通の「そば屋」どころか
食事する店すら見当たらない・・・

そして・・・

気が付けば・・・

現場に・・・

到着してしまった・・・

たった１杯の「かけそば」を探し
約１５０キロの旅をしてきた我々は非常に無念だった

しかしそんな事より空腹の限界に達していた俺は
何か食べないとリハーサルが終わるまで何も食べれなくなるので
コンビニに行って「おにぎり」か何かを買う事にした

幸い入り時間より少し早く到着していたので
近くのコンビニを探す事にする

暫く走ったら目的のコンビニがあった！

そして中に入って驚いた！

なんと！

そのコンビニにはカウンターとテーブル席が存在し
そこで軽い食事が出来るようになっていたのである！

メニューを見てみると・・・

カレーやら何やらが書かれている隣に・・・

「うどん」「そば」があるではないか！

もちろん「かけそば」も！

俺は正直、別にどうしても「そば」が食べたかった訳では無いが
何故だか気が付けば「かき揚げそば」を注文してしまっていた

そして涙が溢れそうになって感動してても
全くおかしくないはずの彼はと言えば・・・

「こんな所のって・・・美味しいんですかね？」と
この期に及んで懸念を抱いている・・・

「俺は注文したぞ！食べへんのか？」

と聞いてみると・・・

「じゃあ俺も食べよっと！」

と言いながら注文していた・・・

俺は先に注文していたので先に食べ終わった為
一旦外に出て仕事の電話をしていた

電話の用事も終わった俺は・・・

やっと・・・

念願の・・・

夢にまで見た・・・

「かけそば」を・・・

彼は・・・

どんな顔をして食べているのか・・・

覗いてやろうと・・・

彼が食べているテーブルに戻り・・・

そっと・・・

のぞき込んでみた・・・

するととても幸せそうな顔をして・・・

「ズルズル」言わせながら・・・

彼は・・・

「かき揚げそば」を食べていた・・・

そんな・・・

腹立つ・・・

彼が・・・

俺は・・・

大好きなのである・・・笑

author : Akira Kobayashi